AKIRANAKA

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September,2024

Autumn Winter 2024-25 “In Between The Lines”

AKIRANAKAが提案する様々な洋服はブランドコンセプトである“ATTITUDEを纏う“ に基づいて仕立てられています。私たちの使うATTITUDE/アティチュードと言う言葉は単なる“態度”を超えた人の内面に存在するものを表しており、以下の言葉に集約されています

視点、思考、理解、知性、エレガンス、静寂、芸術

つまり私たちはこの視点や思考、理解など人の中に内在する要素を洋服を通していかに引き出していくかを目的としています。

本コレクションはタイトルにある“In Between The Lines/行間を読む”という言葉と同じく、コレクションの背景に存在する視覚化されない様々な文脈に思いを馳せることで洋服にある価値を再確認することをテーマにしています。そしてその文脈は新たな視点、思考や理解また芸術性やエレガンスに紐づいています。

幾何学的にカットされたジャケットのデザインには規則性ではなく不規則性による調和が表現されています。不規則性によってもたらされる調和というものは私たちの生活の色々なシーンにも存在するものであり、規則性によってもたらされる調和の中には無い理解や思考が内在しています。一つのディテールがただ美しさという意味合いにおいて存在しているのではなく、そこには読み解くことの出来るさまざまな視点、理解、知性が内包されています。

布で手を覆うという行為はその微細な動きを強調しそこに緊張感を与えます。手指は女性のエレガンスを象徴する部位であり、緊張感とエレガンスが共存する場所であると私たちは信じています。

今季デザインで取り入れられたグローブと繋がった袖の形状は通常の保温性という機能においてデザインされたものではなく、女性の手に宿るエレガンスを引き出すために考案されたものです。

印象派の画家ポール・セザンヌが生み出した従来の遠近法を否定した画法である多視点描画(色々な視点から見える遠近感を一枚の絵に集約する描画方法)からインスピレーションを受けてデザインされたジャケットは全く新しい遠近感の理解にカタチを与えたものです。ジャケットを真上から眺めた遠近感でラペル位置をデザインし、後身頃はベントディテールを真下から眺めた遠近感が表現されています。そうする事でゴージラインは下がった位置で表現され逆にベントはかなり深くデザインされています。

これは遠近感がユニークなディテールを楽しむと同時に知性自体を纏うことを目的にデザインされたものです。美しいものを纏うことで身体のラインを美しく見せそこから得られる高揚感がありますが、このジャケットによって得られる高揚感はそれとは全く違う感覚であり思考や視点、知性を纏うという新しい経験に導くものです。

私たちは今シーズン自分たちのブランドコンセプトに立ち返り、それをより明確に表現する事に努めました。
行間を読み解く様に洋服に宿る様々な文脈を感じて頂き、私たちが印象派の画家達から受けた様々な知性や芸術性を装いを通して感じてもらえたらと願っています。知性や芸術性、理解、思考などを纏う時に得られる美しさは視覚的なものを超えた魅力であり、私たちが追い続ける本当の美しさに繋がっているのです。